2008-09-07

誰にもわからないけれど。[ピアフの人生]

出張から夜遅くに戻ってきてお風呂に入り、ホッとしてTVをつけると『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜(La Mome)』がWOWOWで放送してたので観てしまいました。あまりシャンソンは聴く事がないけど、彼女の丸くて柔らかいけど響きのある歌声、素敵ですね。彼女は人を愛そうとするのだけれど、どうしても逃してしまう。外因的な理由もあれば自分のせいで失うものも多くて幸せな人生にはならないのに、彼女は歌と共に人生を歩み、そしてたくさんの人に彼女と彼女の歌は愛され、最後は安息の地とも言えるステージに再度立って映画は終了。でも観ていてものすごく印象に残ったのはカリフォルニアの静かなマリブビーチにひとりで座って編み物をする彼女の姿、ずっとフランスに居た人なのかと思っていたのでそのマリブビーチという意外な場所も強烈だったけれど、そこへ取材に来た女性が投げかけるたくさんの質問に笑顔で答える場面が心に残っています。いろいろあったけれどここにやっと来る事が出来たじゃないか、そんな風に思える1シーンでした。もちろん映画だからどの程度事実と相違があるのかわからないけれど、悲劇とも言える彼女の人生の中でひょっとするとこうやって手に伸ばせばすぐに届く安息こそ、実は無意識に彼女が求めていたものなのではないのかなと思えてしまう。小さな安息が集まって幸せになる、小さいけど確固な幸せなものが満ち溢れれば、それはそれでいいんじゃないのかなと僕は思ってしまうのだけれど、彼女が本質的に求めたものというのは何だったのか、そのピアフ本人にしかわからない事は何なのかとあえてこの映画は我々に問いかけているような気がしました。なかなかよかったです。

0 件のコメント: