2009-02-13

非常にあやうい映画。[Lucky to be Alive.]

ずっと観たかったんだけれど観る機会がなく、CSで今日やっと観る事が出来ました。先日から観続けているキューブリック作品、彼の遺作となった『アイズ・ワイド・シャット(Eyes Wide Shut)』です。キューブリック本人は公開当初に最高傑作だと言っていたようですが、後に駄作であると言ったり、撮影期間が400日というギネスにも載るほどの長期におよぶ撮影、夫婦の嫉妬をテーマにして当時実際の夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンをキャスティングするなど、何か話題になった作品ですが既に10年ほど前の作品なんですね。なんだかもっと最近の映画だったような気もしますが、よく考えたら公開当時僕はまだアメリカに居たのでそれくらいか。観た後で思ったのは「非常にあやうい」と言う事。夫婦の関係、人間の張りつめた神経、クルーズ演じる主人公ビルが立たされる危機、どれも人間対人間のつながりを元にしているんだけれど、全てが非常に「あやういまま」結末を迎え、一見全てが解決されたように見える一方で、あやうい感じはきっとこのまま続くんだろうなと思わせるようなエンディングです。キューブリックは音楽(特にクラシック)を効果的に使いますが、この映画でも使われてて特に単調なピアノの音が印象的で耳から離れないですね("ジョニーが凱旋する時"ほどではないけれど)。あとそのキューブリック本人もニックがたまたま演奏しているバーで少しだけ出てたりもしてて、こういう「ちょっとした事」がこっそり込められているのはわかるけれど、でも尾行に気がついたビルがカフェで読む新聞のヘッドラインが「LUCKY TO BE ALIVE」なのはわざとらし過ぎるんじゃないのかなあ、、、。そこは別としても確かにわざとらしさが出てて、キューブリックが駄作だと言うのがわからないでもない。原作は小説なんだけれど映像化してコンパクト化してしまうと、結果として大味になっちゃったのかな。そんな風に思いました。

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