2009-05-31

小説的な映画をいろいろ。[ある種の不気味さが]

週末に観た映画について、今週末は3本。まずは『ダーウィン・アワード(The Darwin Awards)』というコメディ映画で、愚かな死を遂げた人に与えられるダーウィン賞マニアの主人公が保険会社の調査員に転職し、その優れたプロファイリングスキルを元に保険支払い対象の事故や死を調査していくのだけれど、予想していたような完全なB級映画でもなく、まずまずおもしろい内容でした。主人公のナレーションが入る映画は暗い雰囲気を作ってしまいがちな傾向があるのに、これはコメディという事でそうでもなく、観ててまずまず笑える。でも別に大爆笑というわけでもなくちょっと中途半端な感じもします。意外なカメオ出演もあって、メタリカが出てきてびっくりもしたのだけれど、Discovery Channelで放送している僕が大好きな『怪しい伝説(Mythbusters)』のアダムとジェイミーが出て来たのが嬉しかった。しかしウィノナ・ライダーって久しぶりに観たなあ。ジュリエット・ルイスは相変わらず「ああいう雰囲気」の人物を演じてて、お決まり過ぎるんじゃないかと思うんだけれど、でも彼女しか演じられる人はいないといえば確かにそうかも。



2本目は『コンフェッション(A Murder of Crows)』というミステリーになるのかな、観終えた後はありがちな雰囲気たっぷりだったと思うんだけれど、でも観ている間は比較的ついつい集中してしまうタイプの映画。ちょっとキューバ・グッディング・ジュニアが背伸びしているようなイメージも受ける一方、でもしっかりとシリアスなところを演じています。彼の場合『ザ・エージェント(Jerry Maguire)』(ひどい邦題だ)のイメージが強いのでどうしてもああいう雰囲気に見えてしまう。ミステリーなのであまりストーリーには触れないですが、これもさっきの『ダーウィン・アワード』同様で主人公のナレーションが入るのだけれど、こっちは非常に雰囲気を醸し出してていいのでは。一冊の小説についての映画なので、映画というよりも小説という感じがナレーションによってよく出てて、こういうのなら観てても耳障りにならない。



最後は観たかった1本『インベージョン(The Invasion)』。未知のウィルスによって人間が次々と感染していって…というSF映画で、正直言ってこういうウィルスに関するSFって今更感が拭えずどうなんだろうなあと思っていたけど、でもけっこうおもしろかった。感染したら死ぬのではなく人間らしい感情を失うという設定がよく出来ていて、人間らしさは失うけど感情がないから世界は平和になっていくという痛烈な皮肉的ジレンマとなっています。監督はジョエル・シルバーで脚本がウォシャウスキー兄弟という見事なアクション+SFの組み合わせだから外れるはずがないのですが、それほど商業的には成功したとは言えないようですね。プロットもキャスティングも悪くない、でも結局はこういう類いの映画は飽きられてるんじゃないのかなあ。いつか違った監督によるリメイクを作って欲しいと思うし、個人的にはキューブリックが撮って欲しかったと思う。



と、まあ、またよく映画ばかり観た週末でしたが、村上春樹の新作『1Q84』を買おうと本屋を2軒回ったのだけれどどこも売り切れでした。売れて不思議じゃないしひょっとしたらと思っていたものの、実際そういう状況を見ると少し唖然としてしまう。自分が何に唖然としてるのかもわからないんだけれど、感じているものは何だかちょっと不気味なものに近いかも知れません。例の全国的なマスクの売り切れ現象にどこか近いような、まさに今週末観た映画のようにどこかSFチックな感じが。

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