2008-10-25

読み終えました。[生のメタファー、ネコだって!]

上巻を読んだという話の続きで、今日は下巻の話。読書スピードが波に乗ってあっと言う間に夜な夜な読んでしまいました。何度も言うように読む時の年齢によって感じ方や考え方、今まで思わなかった事を感じられておもしろいですね。ワタナベトオル、直子、レイコさん、緑、永沢さん、彼らの行動に「あー、なるほど」と同感できる事が若い頃より多くなったような気がします。直子が自殺した後、ワタナベトオルは緑と一緒になる前にレイコさんと寝る事でワンクッション置くというか、そうする事で現実に戻れたのかな。たぶんレイコさんが旭川に行こうと決めなければワタナベトオルはうまく前に進めなかったような。ただ単純にレイコさんと会うだけではどこにも進めなかったんだと思う。たぶんレイコさんも同じであったと思うし、それは緑にとってもキーワードになってて、逆に死のサイドに飲み込まれようとしている、もしくは飲み込まれたキズキ、直子、ハツミさんはそんなキーワードとは無縁のところに含まれ、誰かと寝るという行為は---リテラリーにも---生きている証であり、生のメタファーなんだろうね、このストーリーにおいても、ハルキ作品においても。読んでいると自分がどこかディープなところへ引き込まれてしまって、読み終えてから現実にうまく馴染めなくなってしまったような感覚がありましたが、眠っている娘が「そうじゃないって。ネコだって!」と寝言を言ってたのを聞いてしっかり現実に戻れました:-) でも本を読んでいる時の深い独特な集中力って久しぶりで懐かしかったです。

0 件のコメント: